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[2020年1月27日時点] 暗号資産と物の間の各種取引について税務署に問い合わせた結果を公開します

当団体は、2020年1月27日に税務署に暗号資産と物の間の各種取引について税務相談という形で問い合わせを行いました。本記事は税務署からの回答をまとめたものです。本記事の内容は、あくまで2020年1月27日時点の回答で、それ以降については法律の変更や法解釈の変更で結論が変わる可能性があります。暗号資産での売買を行う際は、当記事はあくまで参考に留め、適宜税理士や税務署に問い合わせた上で、ご自身のリスクで行っていただくようお願いします。

なお、本記事は暗号資産と物の間の取引にフォーカスして書かれたものであり、他の側面の課税(例えば期末において時価評価金額についてかかる税金)などは説明の対象としておりません。言い換えると、本記事は「暗号資産にかかる税金を網羅的に全て説明するもの」ではありません。

前提1:暗号資産での物の売買の際の譲渡による所得はゼロとする

暗号資産で物を売買したときの税額計算方法は、こちらのPDFに公開されています。「商品価格(=暗号資産の譲渡価格)」と「譲渡原価(暗号資産1単位あたりの原価に、当該取引で使った暗号資産の数量を乗じたもの)」の差が正の場合、売主又は買主に暗号資産の譲渡により利益が発生したと考え、当該差額が所得金額となると考えます。しかし、本文章においては、計算を単純にするため、譲渡による所得は発生しないことを前提とします。もちろん、実際の取引においては譲渡による所得は発生しうるので、その際は上記PDFに従って所得金額を別途計算してください。

なお、「未上場の暗号資産の場合、時価はどう考えればいいのか」という論点については、最後に詳しく述べます。

前提2:常に「円相当額」で考える

税金の計算を考える際は、常に円換算をした円相当額で考えます。例えば、暗号資産で商品を買う場合、暗号資産の時価も商品代金も両方円相当額に計算した上で考えます(前提1では実際にそうやっています)。

代理購入 及び 販売代行

代理購入の説明は以下の図を見て下さい。

出典:和らしべ

この場合、前提2より、トークンの費用を当該トークンの時価から円相当額に換算して考えます。あとは法定通貨(円)で代理購入を行う場合と全く同じように税金がかかります。

代理購入と販売代行は同じ取引の別表現です。買主側に着目すれば代理購入、売主側に着目すれば販売代行となります。従って販売代行においても、生じる税金は全く同じです。

発行体のトークンを用いた備品購入

発行体のトークンを用いた備品購入については以下の図を見て下さい。

出典:和らしべ

この場合も、前提2より、トークンの費用を当該トークンの時価から円相当額に換算して考えます。前提1より、差益所得はないので、トークンと交換される物の日本円相当額が、交換に出されたトークンの価格となります。従って、商品の買主(トークン発行者)にとっては、物の日本円相当額が損金となり、売主にとっては物の日本円相当額が益金となります。

多通貨オークション

多通貨オークションについては以下の図を見て下さい。

出典:和らしべ

この場合、オークションが十分な人数において適正に行われたと仮定すれば、法定通貨(円)の最高落札額が円相当額となります。上記の図の場合、円の最高落札額は1,500円です。従って、誰が落札した場合でも(ARUKやALISで落札がなされた場合でも)、1,500円の売買が成立したとして税金の計算を行います。

円の最高落札額が、市場価格と著しく乖離している(例えば市場で1万円ほどで売っているゲームソフト1本を出品したのに100円の値段しかつかなかった)場合、円の最高落札額は売買価格とは必ずしもみなせません。この場合は、何かしら別の相当な基準で計算する必要がありますが、それをどうやればいいかについてははっきりとした答えがまだありません。

未上場の暗号資産の時価はどうやって計算するか

税務署に上記見出しの通りの質問をしたところ「なんとかして適切な額を算出して頂くしかない。どういうやり方が適切かは、まだ事例がほとんどないので現段階でははっきりと回答できない」という回答を得ました。

当協会が「いろんな業者から売買のデータを集め、それを元に随時レートを算出し、そのレートを基準に考えるのはどうか」とさらに聞いたところ、税務署は「適切にレートを算出していればそれでもいい。ただし何が適切かは前例がないので一般的な回答はできない」と言われたので、当協会から「それではまず、こちらの考えでレートを作ってみて、その後また相談しに来ます」と回答しました。

未上場の暗号資産にとって、信頼性の高いレートは、売買を行う際にも、税金を計算する際にも必須となりそうです。従って当協会は、提携事業者から情報を収集して質の高いレートを作り、将来的に会員に提供する予定です。