暗号資産古物取引における法律上の注意点

  • 暗号資産古物商に関わる法律の種類について
  • 仮想通貨(暗号資産)交換業者について
  • 暗号資産古物商の規制について
  • 今後の暗号資産古物商規制について

暗号資産古物商に関わる法律の種類について

【資金決済法】
資金決済法を基に仮想通貨交換業によって仮想通貨(「暗号資産」と同様の意味。以下も同じです)同士や法定通貨の交換に関して規制されています。現在、仮想通貨同士や法定通貨との交換業に関しては仮想通貨交換業の登録が必要です。

【金商法】
金融商品取引業による規制(セキュリティートークン
セキュリティートークンとはセキュリティ(有価ある特定のサービスやシステムの中で利用できるもの証券)とトークンを掛け合わせた言葉です。

(引用:STOとは?セキュリティトークンに投資できる取引所や日本のICOの今後を解説

【古物営業法】 古物商の許可を受けるために必要な条件や、古物商が守らなければならない義務などが規定されています。

 (引用:【古物商 法律】最低限押さえておきたい古物営業法とは

上記の様な法律やそれを基とした規制が暗号資産古物商には関係があります。
基本的には古物商営業法に遵守する事が求められますが、注意すべきは仮想通貨交換業と金融商品取引業の規制内に触れない様にしなければならない事です。

次に暗号資産古物商が一番注意すべき仮想通貨交換業についてご紹介します

仮想通貨(暗号資産)交換業者について

冒頭にもお伝えした様に仮想通貨交換業者は仮想通貨同士や法定通貨と仮想通貨の交換を行う業者を言います。金融庁の登録を受けた業者が仮想通貨交換業者となります。金融庁から未認可ながら現在申請している「みなし業者」も存在しています。

暗号資産古物商として物と仮想通貨は交換出来ますが、仮想通貨同士や法定通貨との交換は仮想通貨交換業の登録が必要になりますので要注意です。

また仮想通貨交換業者に関しては当協会としては以下の様に考えています。

仮想通貨交換業は金融庁の管轄で、登録の為には金融機関並みの体制構築が必要でした。仮想通貨交換業登録を取らずに仮想通貨関連ビジネスに参入することはどのように規制されるか予想が困難であり、大企業は勿論のこと大企業がLP投資家となっているVCから資金調達をしているスタートアップですらも、仮想通貨関連ビジネスへの参入には慎重でした。実際には仮想通貨を発行して協力者に無償で仮想通貨を配布するビジネス等、仮想通貨交換業に該当せずに仮想通貨を活用したビジネスを行うことが可能です。
本年6月にFATFの暗号資産に関するガイドラインが発表され、暗号資産を取り巻く規制はさらに厳しくなることが確実です。
仮想通貨交換業者を通じてイノベーションを起こすことは今後益々難しくなるでしょう。

技術と法律2019 smips技術と法律プロジェクト第3号令和元年9月22日発行

今後も仮想通貨交換業の規制が厳しくなる中、暗号資産古物商の規制はどうなっているのか紹介します。

暗号資産古物商の規制について

現在、仮想通貨と物との交換に関する規制はほとんどありません。

現時点では資金決済法や金商法の潜脱となる行為を除き、特段の規制の必要はないと規制当局は考えています。そもそも憲法29条や取引自由の原則により、取引当事者間で合意した決済手段を法律で制限することはかなり困難です。
仮想通貨交換業規制が仮想通貨と法定通貨の売買や仮想通貨同士の交換を規制していることが特殊なのです。日本では、仮想通貨は物やサービスとの交換は自由に行うことができるが、仮想通貨同士の交換や仮想通貨と法定通貨との売買は厳しく制限されている特殊な財であると言えましょう。

技術と法律2019 smips技術と法律プロジェクト第3号令和元年9月22日発行

上記の理由で制限する事は困難です。

新品は医薬品や酒類等別途規制されていない限り、仮想通貨で売買できます。

さらに、中古品の買取や販売、オークションの様な古物市場で仮想通貨(暗号資産)を使用し取引する場合は古物商許可が必要となります。

また当協会の役員岡部典孝が警視庁へも以下の様な確認をとっております。

そもそも古物商許可制度は、盗品売買防止を目的として警察庁管轄の古物営業法に基づいて運用されており、貴金属商は犯収法上の特定事業者に指定されています。また、非対面取引の際の本人確認手続きもきちんと規定されており、長く安定して運用されています。古物の売買の際の決済手段として暗号資産を使うことは元々想定されていませんでしたが、禁止もされていませんでした。
そこで私は古物商を通常通りの手続きで取得し、インターネットで競り売りを行う届け出を行った上で、警視庁に古物商が暗号資産を取り扱う新しい業態ができたことを伝えました。そして、警視庁が警察庁に問い合わせた結果、以下の通り整理して頂きました。
 「古物商が古物の売買を暗号資産で行うことは古物商許可で行って差し支えない。但し、金額にかかわらず本人確認を行うように」これにより、以下のようなビジネスが仮想通貨交換業ではできない古物商の独占業務となりました。

・古物を仮想通貨で買い取り現金で販売する、又はその逆

・古物を仮想通貨で買い取り、別の仮想通貨で販売する

・古物を仮想通貨で委託販売する

・古物市場やインターネット上で古物を仮想通貨で競り落とす

また、以下のビジネスが古物市場主の独占業務となります。

・仮想通貨決済を行う古物市場を経営する営業

技術と法律2019 smips技術と法律プロジェクト第3号令和元年9月22日発行

現在、古物商に関しての規制で暗号資産を取り扱える現状ですが、自主規制も含め次の様に今後の規制を当局とコミュニケーションを取っていく予定です。

今後の暗号資産古物商規制について

当協会では以下の様に考えております。

暗号資産取扱古物商が今後どのように規制されるか検討したいと思います。
既に、以下の古物を仮想通貨で取引することは仮想通貨交換業で規制されていると考えられます。
 ●1円金貨等の法定通貨として流通している古銭を仮想通貨で売買すること
 ●秘密鍵を入れた記録媒体を、本来の記録媒体の値段より大きく上回る、秘密鍵で動かせる仮想通貨の価値を含めた値段で売買すること

これらは引き続き規制されると考えられ、明文で禁止されるかもしれません。
次に、マネーロンダリングに使われやすい匿名通貨による古物取引を規制することが考えられます。
その為には暗号資産取扱古物商が使うアドレスを警察庁に届け出することを義務付けることになるでしょう。現在もインターネットで営業する古物商はURL届を提出することになっている為、古物取引に伴う一定以上のトランザクションがあったアドレスを2週間以内に警察署に届け出るような形になるのではないでしょうか。
そして、一定以上の金額の場合に仮想通貨を送受信したアドレス又はトランザクションを古物台帳に記載するよう義務付ける規制が考えられます。価値をどのように判断するかは、相場が無い仮想通貨もあり得るので議論が必要です。
最後に、マネーロンダリングに使われやすい換金率と流動性が著しく高い古物を一括で指定し、当該古物を扱う古物商を犯収法の特定事業者に指定する規制が考えられます。現状の規制では特定事業者の指定において必ずしもリスクベースドアプローチが徹底されていない面があることから、暗号資産の国境を越えやすい性質と組み合わさった際のリスクを分析した結果に基づき特定事業者の範囲が広がる可能性があります。

技術と法律2019 smips技術と法律プロジェクト第3号令和元年9月22日発行

暗号資産古物商協会は上記の様に古物商営業法を遵守し、AML/CFT(マネーロンダリング/テロ資金規制法)の規制とイノベーションの促進を両立させる事を進めて参ります。